【簡単に分かる】ガンダリウム合金の強度について

エンジニア

ガンダムの装甲ってなんで硬いの?ガンダリウム合金って何?

wikiを読んでも難しくてよくわからない人向けに
わかりやすく解説します

はじめに

「見せてもらおうか、連邦軍のモビルスーツの性能とやらを!!」

「どうだ!(ニヤリ)…バカな、直撃のはずだ!」

「ええぃ!連邦軍のモビルスーツは化け物か!」

by赤い人

※アニメ「機動戦士ガンダム」第3話より

さて、赤い人が体験した通り、ガンダムの装甲はザクマシンガンを受け付けませんでした。
今回はこのガンダムの「硬さ」について解説していきます。

ガンダムの装甲についてWIKI等を確認すると

ルナチタニウム合金=ガンダリウム合金を採用

とのことです。

上記内容について詳しく解説していきます。

今回考察した結論から話すと

・ガンダリウム合金=ルナ・チタニウムを装甲に採用

・ルナ・チタニウムはチタンとイットリウム(おそらく他の金属も添加)の合金

・イットリウムを添加することで、結晶粒が微細化することに加え、イットリアという酸化物が析出することで分散強化し、塑性変形に強くなる。

・ルナ・チタニウムは宇宙で精製することで、添加金属が均等に散るため、性能の偏りがない。

ため硬いのだと推測しました。

ガンダリウム合金って何?

ガンダリウム合金=ルナ・チタニウム合金ということで
どうやらメインはチタン(原子記号Ti)の合金ようです。

また、ルナの文字通り
月(もしくはルナツー)でしか精製出来ない合金とのことです。

現実の世界だと、チタン合金は
・発電所でのタービンブレード
・飛行機、自動車のエンジン部品
・カメラや医療機器等の精密機械部品
等、様々な製品に利用されています。

チタン合金を使うメリットとしては
軽い
強度が高い
・錆びにくい
・磁石に付かない
等があります。

「軽い」「強度が高い」について。


ここで、よく使われる鉄とアルミと比較してみましょう。

チタンの強度は、アルミの約3倍、鉄の約2倍とのことです。
チタンの重さは、アルミの約1.7倍、鉄の約0.7倍とのことです。
(https://mitsu-ri.net/articles/titanium
 https://www.toishi.info/metal/weight.html より抜粋)

同じ重さあたりの強度で考えると


チタンは鉄やアルミよりも2~3倍強度が高いことがわかります。
(実際はすべて合金となって使用されるので、細かい数値は異なります。
 イメージとして捉えてください。)

兵器として考えた場合、強度が高いことは最重要ポイントなので
採用の理由としてはコレなのではないでしょうか。

・「錆びにくい」と「磁石に付かない」について


磁力があると誤作動してしまう精密機器や
海が近い発電所のタービンなんかはこの性質を利用しているようです。

モビススーツはさまざまな場所で戦闘しそうなの
ですぐ錆びそうですねぇ・・・


メリットとしては大分ありそうな感じです。

しかし、チタン合金を使うデメリットとしては
価格が高い
・加工が難しい
等があります。

・「価格が高い」について

それぞれの金属について価格を調査すると、

チタン1kgあたり770円~1500円
https://www.super-recycle.com/knowledge/190322/

鉄(スチール)1kgあたり100円~150円
https://www.japanmetal.com/index.html

アルミ1kgあたり160円~280円
https://ecodb.net/commodity/aluminum.html

と、チタンは鉄の約8~10倍くらい高いことになります。

・「加工が難しい」について

詳細は難しくなるので省きますが、加工が難しくなることは、
値段が高くなるんだなー。くらいに覚えておきましょう。

詳細はここを参照ください。
https://mitsu-ri.net/articles/titanium-cutting

単純に比較はできないですが、ガンダリウム合金って強度が高くて、高いんだなー
というイメージができたのではないでしょうか?

装甲が壊れるということは、どういうこと?

ここで、装甲が壊れるってどういうことかについて考えます。

一言で言うと、穴が開かなければよいのです。

装甲に銃弾があたると、装甲は変形します。
その変形に耐えられなくなった時、穴が開くということはイメージできるはずです。

この変形に強い材料=装甲にしているということです。

・装甲が変形するということ

変形に強いことを考えるには、変形はどういうことかをまず知る必要があります。

変形には大きく分けて2種類の変形があります。

もとに戻る変形

もとに戻らない変形

の2種類です。

もとに戻る変形は、板を曲げた後、手を離すとバイーンと戻るイメージです。
もとに戻らない変形は、針金をぐいっと曲げた際にそのままの状態を維持するイメージです。

もとに戻る変形の挙動について

もとに戻る変形は下記の図のように力を加えても
金属結合により、原子同士が引き合い、
伸び縮みすることで変形します。
(金属結合は、原子同士が引き合っているというイメージで捉えてください)

材料力学的には「弾性変形」した。
といいます。

もとに戻らない変形の挙動について

もとに戻らない変形は下記の図のように力を加えると
弾性変形では耐えれなくなるため
金属結合が一度ずれて、隣の原子と再結合する変形です。

材料力学的には「塑性変形」した。
といいます。

力が弱い状態の時は弾性変形で済むのですが、
より強い力が作用した場合、耐えきれなくなって塑性変形となってしまうイメージです。

・変形しにくくするにはどうしたらよいか

弾性変形しにくい材料が必要なのはもちろんなのですが
この塑性変形にも重要な役割があります。

原子間力を一度切って別の原子と結びつく変形のため
変形するごとにエネルギーが消費されます。

弾性変形はもとに戻る変形なので、エネルギーをそのまま返してしまいます。

銃弾やバズーカの爆発を受けてわざと変形させることで
中身を守ることができるのです。

車が衝突した時、わざと車体を変形させて衝撃を吸収するって聞いたことないでしょうか?

・塑性変形に強い材料にするにはどうするか?

ここから少し、材料の難しい話になります。

先程、チタンや鉄はそのまま使用せずに合金として使用すると言いました。
(合金化するということは、「混ぜもの」を入れるということです。)

鉄に炭素を含ませることで鋼に
さらにクロムを混ぜることでステンレスとなります。
このように合金化することで、性能の向上を図っています。

特殊な配合を行うことで、塑性変形に強い材料を作ることができます。

バンダイのHPを確認したところ、
ガンダリウム合金=ルナ・チタニウム合金は
高純度のチタンにイットリウムの酸化物(イットリア)
が混ざっているとのことです。
(https://bandai-hobby.net/site/gundarium/02/)

偶然にも連邦が保有しているルナツーから
高純度のチタン
希少な金属であるイットリウム
を確保することができたので、生産可能になったようです。

情報より、イットリウムの酸化物を析出させることで
酸化物分散強化されて、塑性変形がしにくくなるとの記載があります。

金属の酸化物は一般的にセラミックのような性質があり、脆いがものすごく硬いです。
また、金属ではないため、金属結合を行っていないため、上記の塑性変形を阻害する
働きがあるため、塑性変形がしにくくなり、強度が上がります。

また、このイットリウムを添加することで、金属の結晶粒子が小さくなり
塑性変形を阻害する結晶同士の境界が多くなるため、塑性変形しにくくなります。
(このへんは難しいのでイメージで捉えて下さい。
 詳しくは機械系や材料系の大学に行くと学べます。)

上記の合わせワザでガンダリウム合金は強度が高いのかもしれません。

・宇宙でしか精製できないことについて

チタンにイットリウムを混ぜ高温で熱して板状に加工するわけですが
ここで重要なファクターがあります。
重力です。

ガンダリウム合金はおそらく、チタンとイットリウム(おそらくは他の元素も添加)が
絶妙なバランスになった時、強度が高くなると思うのですが、
重力がこのバランスを崩してしまいます。

金属はそれぞれ重さが異なるため、重力下で合金を作製すると
軽い金属は上に、重い金属は下に若干ながら散ってしまいます。

月(重力は地球の1/6)もしくは無重力空間にて精製することで
ほぼ均等に合金を作製することができるため
宇宙でないと精製できないのだと推測されます。

まとめ

ガンダリウム合金の精製と、材料については不明な箇所があるため
推測の部分も多いですが、得られた情報を元に技術的に解説したつもりでしたが
皆さん分かりましたでしょうか・・・・?

新しい情報や考察があり次第追加していきたいと考えています。

以下今回のまとめです。

ガンダムは

・ガンダリウム合金=ルナ・チタニウムを装甲に採用

・ルナ・チタニウムはチタンとイットリウム(おそらく他の金属も添加)の合金

・イットリウムを添加することで、結晶粒が微細化することに加え

イットリアという酸化物が析出することで分散強化し、塑性変形に強くなる。

・ルナ・チタニウムは宇宙で精製することで、添加金属が均等に散るため、性能の偏りがない。

ため硬いのだと推測。

です。

以上

ではまた

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